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蘇貞昌氏の家系に関する論争:祖父の「漢奸」疑惑と林少猫事件

台湾政界において、蘇貞昌(そ・ていしょう)氏の家族背景は長年、政敵による攻撃の対象となってきた。論争の中心は、日本殖民時期における祖父の蘇雲英(そ・うんえい)と伯祖父の蘇雲梯(そ・うんてい)の役割である。反対勢力は、1902年の「林少猫事件」において、蘇雲英が抗日指導者の林少猫を日本軍に売り渡し、抗日勢力に壊滅的な打撃を与えたと主張している。さらに、蘇家はこの功績で日本政府から重用され、富を築いたとして「漢奸(かんかん)」や「売台(台湾を売る者)」のレッテルを貼られている。また、蘇貞昌の父である蘇啓東も、この「不義の遺産」を継承したとして批判にさらされることがある。しかし、歴史学者や台湾事実查核中心(TFC)などの調査機関は、歴史文献『屏東県郷賢伝略』などには蘇家の実業発展の記録はあるものの、抗日勢力を売り渡したという確かな証拠はないと指摘している。林少猫の招降に関わった仕紳の中に蘇雲梯の名はあるが、蘇雲英の直接的な関与を示す証拠は乏しい。蘇貞昌氏はこれらの疑惑を「選挙目的の悪質なデマ」として繰り返し否定しており、家族が所有する「台湾民主国」の株券などを公開し、外来の権威主義に抵抗してきた家系の歴史を強調して名誉を守っている。この論争は、日本殖民時期の人物の評価をめぐる台湾社会の認識の相違と、家族史が現代の政治闘争においていかに負のレッテルとして利用されるかを象徴している。